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翌日の午前中は、ボランティアの方の案内で長者原自然観察路を歩きました。
タデ原湿原は三俣山からの湧水による高層湿原ですが、ヨシやミズゴケの湿原からススキの草原へ陸地化が進んでいる場所があります。周辺部ではノリウツギなどの低木の侵入がみられます。毎年の野焼きによって湿原(草原)の状態が保たれているということです。 周辺部はきちんと輪地切りがされていますが、これらは野焼きボランティアの方々の努力に支えられています。 一歩森に入るとそこは、かつての氾濫の後に形成されたまだまだ若いミズナラ林でした。所々に息絶えようとしているノリウツギの木があり、低木林から高木林に移行したばかりということがわかります。ボランティアの方のご指導で、生徒たちも見て、匂いをかいで、触って、食べて、森を堪能しました。植物の名前も「痛みを取る」からイタドリ、「春に先ず(まんず)咲く」からマンサクなど「ヘエ!ヘエ」とトリビア満載でした。 午後は湯布院の近くの山下湖に移動しました。ここに九州電力の社有林があります。この森はFSC(森林管理協議会)から適切に管理されていると評価する「森林管理認証」をわが国の電力会社としては初めて取得した国際的に評価されている森です。 森の管理にあたっている九州林産の加賀英昭さんにお話を聴きました。まず森に連れて行ってもらいました。バスから見える森は見慣れたスギ林とは全く異なり、森の中まで光が入り、草本や低木や亜高木が発達した豊かな森でした。 見せていただいたスギ林は樹齢80年、大正時代に水力発電のために山の保水を目的に植えられたものでした。 「今評価されているのは、私たちではなく、大正時代の先輩たちだ」と加賀さんはおっしゃいます。 そしてその横の植林されたばかりのスギを指さして 「これは私たちが100年後を考えて作っている森です。私たちはどんな森になるか結果を見ることはできないが、100年後の人に評価してもらえる森を作りたい」 と生徒たちに語ってくださいました。 今日、学校もそうですが、短期の数値目標を設定して、評価することが求められています。それも必要なことだと思いますが、教育も森づくりと同じようにずっと先を見据えて日々の細やかな生徒へのはたらきかけをしなければならないと思いました。 もうお一人、九州電力の竹下さんにも来ていただいてました。竹下さんは九重の野焼きボランティアをなさっている方です。 初日に見たスギ林、マツ林、牧草地、そして今回は見ませんでしたが里山(雑木林)など、日本の昔からの風景が今、危機的な状況にあります。これらを救うのは都市に住む人たちの力を集めるしかないと思います。都市に住む人たちが、自分たちの水や食べ物などを支える大切な場所として積極的に関わることができる組織・しくみを作らなければならないと思います。 そんな思いを竹下さんに語ってもらいたかったのですが、残念ながら野焼きの場所に行く時間はとれませんでした。 竹下さん、また近いうちにお願いします。そして加賀さん、素敵なお話をありがとうございました。
by anisakis51
| 2005-11-02 20:50
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